ア行 
アイナメ
アカガイ
アサリ
ア ジ
アナゴ
アマダイ
ア ユ
アワビ
アンコウ
イ カ
イサキ
イシモチ
イトヨリ
イボダイ
イワシ
ウナギ
ウ ニ
エ ビ

ア 行

アイナメ

 アイナメはカサゴ目アイナメ科の魚で、クジメ、ホッケなどと同種で、日本各地沿岸の海藻の多い岩礁地帯に住む磯魚です。 関西ではアブラメと呼んでいます。
 12〜1月頃になると浅海にきて海藻に卵を産み付けます。産卵した雌はそのまま去ってしまいますが、雄親は孵化するまで卵を守り、保護します。孵化した稚魚は海藻や岩礁の間に潜み、朝夕には平場に出て餌をとりますが、海の荒れている日は安全な場所に潜んでいます。成魚(30〜40センチ)は群集性がなく、それぞれに隠れ場所を持ち平場でも単独で行動しますし、食性は雑食性で、子魚、エビ、カニなどを好み、また、ゴカイ、イソメなどの環虫類も食べます。
 体表には、5本の側線のあるのが特徴で、体色は普通、黄茶色をしていますが特には色を変えることもあります。肉は白身で淡泊のように見えますが案外に脂肪も多く、春から初夏にかけて旬を迎えます。市場には活魚で入荷することも多い高級魚です。
 栄養的には、良質たん白でビタミンDもありますので、カルシウムの呼吸率をアップしてくれます。調理面では、夏には“アライ”にもしますが、照り焼き、煮付け、焼き物、フライ、から揚げなどにも利用できます。

アカガイ

 アカガイは北海道南部から九州にかけての内湾の砂泥地に分布しますが、主産地は東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、有明海などで、夏の産卵期を前に早いところでは4月頃から禁漁になるところもあります。最近は国内生産が減少し外国からの輸入ものが多く出回っています。
 外観は黒褐色で表面に40数本の放射状の溝があり、身は赤貝の名のとおり鮮やかな赤色で血液にはヘモグロビンという色素がある珍しい貝です。アカガイは二枚貝なのに足の代わりをする水管がないので海の中を自由に動き回れないせいか古代から先人たちによく食べられていたようで全国の貝塚から多くの貝殻が出土しています。江戸前期の学者、貝原増軒の「大和本草」には『蛤類のうちにて味もっとも美なり』とあり、このほか、薬効として『身肉は血を益し、渇を止め、血便や婦人の失血を調え、殻も血の塊を消し痰を散らす』と記されております。
 栄養的にはグリコーゲン、B〜カロチン、ビタミンB1、B2、ミネラル類などが多いので動脈硬化、視力低下、肝臓病や疲労回復などには効用があります。鮮度のよいものは内臓を除き水でよく洗い、身を蝶のように開いてスシ種に、また酢のもの、串焼き、吸い物、鍋物にもあいます。ヒモは食通に珍重され、ヒモの握り寿司は値段が少し高いようです。

アサリ

 アサリは内湾で淡水が入り込む塩分濃度の低い汽水域の砂泥地に潜って住む二枚貝で、北はサハリン(樺太)九州、朝鮮半島、台湾まで広く分布しており、国内では東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、有明海などが主産地と言われていますが、今では海洋、河川の汚染で少なくなり、稚貝を採集し、これを生産に適した海底に蒔き付ける養殖も行われています。
 「大言海」によりますと、アサリは“求食”(アサリ)で潮干にあさりを求めたというのが語源のようです。また、貝原益軒の「大和木草」には『殻に花紋ありて美なり』とあるように殻の表面に茶と黒の斑点があってきれいだが、浜によって色・模様とも千差万別です。アサリのシーズンは年に2回で、4〜5月と10〜11月で、6〜9月は産卵期なので、食中毒のおこりやすいことから食べない方がよいと昔から言われています。一般的に貝殻にはコハク酸を多く含んでいます。
 味噌汁やスープの具にすると旨く感じますし、グリコーゲンが多いほか、ビタミンA1はハマグリの4倍もあり、B2B12Cも比較的に多く含んでいます。それにカルシウム、鉄、亜鉛などのミネラルも多く、貧血、皮膚疾患、味覚障害や胆汁の分泌によく、肝臓病やお酒飲みの人にもお勧めの食品です。調理面では、汁ものの他に、ぬた、かきあげ、しぐれ煮、サラダや、卵でとじて煮込んでも結構でしょう。

ア ジ

 アジは暖海性で、北海道を除く日本各地に分布しており、ゼンゴ(ゼイゴ)と呼ばれる堅い刺のある鱗が体の側線部にあるのが特徴です。また、1年中産卵していて特に“旬”のない魚ですが、一般的には夏が旬とされていて、大阪の天神祭りにはハモ、タコと共にアジが大好評です。最近は日本の需要が多く、世界の各地から輸入されており、フランス、ポルトガル、スペインなどからが多いようです。種類はマアジ、マルアジ、オニアジ、メアジ、シマアジ、ムロアジなどがありますが普通、アジと言えばマアジのことですが、マルアジも多く出回っています。
 新井白石が、“東雅”という古書に「アジは味なり、その美なるものをいう」と記しているようにグルシン、アラニン、グルタミン酸、イノシン酸などの旨味成分が多くて美味しい魚です。栄養的には、不飽和脂肪酸に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)が多いことから動脈硬化や血栓病などの予防によく、頭を良くするDHA(ドコサヘキサエン酸)も多く含まれていて、脳細胞の活性化に効用があり、それに、カリウムも多いので、口内炎、口角炎にも効果があります。
 調理法は、新鮮なものは刺身、たたき、すし種、酢のもの、和え物、焼物、煮付け、天ぷら、フライ、から揚げ、干物など用途は広いし、三枚におろした後の骨は“骨せんべい”にしてカルシウムの補給に使うとよいでしょう。

アナゴ

 アナゴは日本各地に分布しており、内湾の砂泥地に住んでおります。特に松島湾、瀬戸内海、東京湾のアナゴが有名です。主要産卵場は南西諸島近海と云われていて、ウナギ、ハモと同じようにレプト・セファルス幼生(柳葉状幼生)となって浮遊し、黒潮に乗って日本の沿岸に近づき成長します。
 幼魚は「ベタラ」または「ノレソレ」と呼ばれ、白魚のように半透明で、生のまま酢味噌か二杯酢で賞味します。成魚になると体側に白い側線孔ができて丁度、秤の目盛りのようなところからハカリメ(秤目)の別名があります。また、アナゴは悪食で何でも貪欲に食べまくるので、四国では下品な魚とされ、「デンスケ」とか「ベエスケ」などと呼ばれています。それに、アナゴには、ウナギ、ハモと同様に血液中に弱いたんぱく毒素を持っていますので、刺身で生食はしませんが、加熱することで毒素は無くなります。
 栄養的には、ウナギと同じように脂肪も多く、特にビタミンA(動物の場合はレチノールですので、体内で変化し、脂容性のため吸収率がよくなります)が豊富なので、夏バテ予防には最適です。それに、ミネラル、EPA、DHAもあるので眼科疾患、動脈硬化、血栓病、脳細胞の活性化、老化防止などにも効用があります。調理面では、すし種、天ぷら、蒲焼き、甘煮、八幡巻など広く利用できます。
 旬は春から夏にかけてです。

アマダイ

 魚の中でタイの名前の付く魚は案外に多いです。アコウダイ、キンメダイ、イットウダイ、エビスダイ、イボダイ、キントキダイなど勿論、アマダイもその一つですが、タイ科の魚ではありません。アマダイは本州中部以南の海域で、50〜150メートルの海底の砂地に単穴を掘って住み、小さな甲殻類や貝類などを主食にしています。種類には、シロアマダイ、アカアマダイ、キアマダイの三種類がありますが、名前のとおり魚体の色で識別できます。シロアマダイは紅色は帯びてはいますが、やや、鱗に多少の黒色があるもののアカアマダイに比して白っぽい色をしています。アカアマダイは全く濃いピンク色で、キアマダイは背と尻尾のひれに鮮やかな黄色をしていますが、キアマダイはあまり市場には出回っていません。一般的なアカアマダイは日本海だけにしかいません。三種類の内、シロアマダイの味が最高とされていて、マダイに負けない旨味の白身魚です。昔、興津の局(つぼね)という駿府出身の奥女中がある日、里帰りをし、土産にアマダイの干物を徳川家康公に献上したところ、大変に美味であったので、家康公は“これは、うまい・・・”と言われ、この魚を興津鯛と命名されたとか・・・。その後、静岡付近ではシロアマダイの干物を興津鯛とよんでいます。アマダイの魚肉は少し軟らかなので刺身にはむかないが干して焼いて食べると栄養的にも効果があり、骨粗しょう症の予防によく、カルシウム、タウリン、なども多く含んでいますし、口あたりがアッサリ、美味で味覚をそそります。関西ではグジともよばれ人気があります。調理面では、塩焼き、粕漬け、味噌漬け、酒蒸し、変わったところではアマダイの頭を焼いて熱燗を注いだグジ酒などは如何でしょう・・・!!

ア ユ

 アユはサケ・マス類の近縁の魚で、銀灰色に黄色を交えたその姿はとても美しく、“清流の貴公子”とも呼ばれています。秋に川で孵化し、川の流れに沿って海に入りますが、あまり沖の方までは行きません。春、桜の花が咲く頃には、体長が5〜7センチの稚アユに成長し、しばらくは汽水域(河口)で真水に慣れてから群を作って川を遡ります。海では微少な動物性のプランクトンを食べていますが、川に入りますと植物性に変わり、主に珪藻や藍藻などを食べ、独特の香気を出しますので「香魚」とも呼ばれています。藻類を食べながら上流へと遡り、5〜6月頃には体長10センチぐらいの若アユになります。産卵が近い9〜10月頃になると清流の川底の小石の上に雌が産卵し、まもなく死にますが、雄は体力の続く限り産卵場所に群れ、死力を尽くして精液をかけ、落ちアユとなってその一生を終わるので「年魚」とも言われています。アユの字源は、神武天皇が吉野川上流から大和に進攻しようとしたが、高倉山で敵に包囲されて苦境に陥ったとき、天地地祇(天地を守る神々)に瓶に酒を入れて祀り、その瓶を丹生川に沈め、これによって魚が浮上するならば大和の地が平定できるという霊夢を見られ、神の啓示どうり実施すると酒に酔ったアユが浮上し、抵抗もなく大和に入り、建国の基盤を築かれたという伝説があり、また、神功皇后が朝鮮に渡海するため、肥前松浦の里で、アユを釣って占われ、無事、渡海されたという伝説もあり、「占った魚」というので鮎になったようです。 岐阜縣には長良川、木曽川、飛騨川、岐斐川などの一級河川が多く、特に長良川の鵜飼いが有名であるところから平成元年に「縣魚」として定められています。
 栄養的には、ビタミンB1、B2、C、Dそれにミネラル特にカルシウムが多く、口内炎、口角炎、皮膚疾患、骨粗しょう症などに効用があり、アユの内臓はカルシウムの吸収率をよくしてくれます。調理面は塩焼きが一番ポピュラーですが、から揚げも結構いけますし、子持ちアユの甘露煮は最高でしょう。

アワビ

 アワビはメカイアワビ、クロアワビ、マダカアワビの総称で、アワビの仲間は外形が偏平で丸みのある耳形をしているところから分類学上ではミミガイ科の名がついています。
 メカイアワビは平たくて赤褐色、クロアワビはやや細長く緑色の黒色、マダカアワビは三種中、最も大きく殻も厚いです。
本州以南から九州にわたって広く分布していて、夏から秋にかけてが産卵期で産卵後、孵化したものをペリジャー幼生といって七日間ぐらい海中に浮遊した後、海底生活に入ります。もともとアワビは巻き貝の進化したもので、殻は一枚(片貝)しかないところから「磯の鮑の片思い」という言葉がありますように婚礼などには使われません。
 食用として利用されたのは中国の秦の始皇帝時代、約、二千年前頃だといわれています。熨斗アワビは不老長寿の薬とされ、神詞の供物などにも奉納されています。
 ところで、アワビの小型でトコブシがありますが、一般的にトコブシはアワビの子貝のようにおもわれていますが実は近縁ではあるのですが、種類が違うのです。トコブシは殻長が7センチぐらいで、これ以上は大きくなりません。
 栄養的には、たん白質に富み、グルタミン酸、アルギン酸、ロイシンなどのアミノ酸が多く、ビタミンB1、B2の含有量も多く、ミネラルはカルシウム、鉄が多く疲労回復、肝臓病、皮膚疾患、貧血、母乳促進などにはよいでしょう。貝類の殆どが夏は駄目なのにアワビは夏が旬です。
アンコウ
 『岐阜の鮎 水戸の鮟鱇 明石の鯛』
これは美味しい魚とその地名をあらわした言葉の一つですが、もう一つ「東のアンコウに西のフグ」というのがあります。また、マルセイユの名物料理でもある“ブイヤベース”にはアンコウは欠かせない魚のようです。
 アンコウは日本各地の全域、東支那海からインド洋と広範囲に分布しており、日本では比較的北に分布するホンアンコウと比較的南に分布するクツアンコウの二種類があります。
 アンコウは遊泳力が弱く海底に潜み、寄ってきた小魚を捕食します。諺に「アンコウの待ち食い」がありますが、これはアンコウが自発的に索餌せずに海底で触手である擬餌状体を動かし、小魚が餌と間違って寄ってくるとパクッと飲み込むという実に太平無事な生活をしています。外国ではアングラーフィッシュ(釣人魚)とよんでいます。また、典型的なノミの夫婦で雌は雄の十倍ほどの大きさがあります。日本では昔から伝わっているアンコウの吊るし切りの調理方法が『本朝食鑑』に記されています。現在でもこの方法を用いているようです。
 アンコウには七つ道具《皮、びれ、胃袋、肝臓=トモ、卵巣=ヌノ、魚肉=柳肉、頬、顎=ヤナギ》の可食部があって、殆ど捨てるところがありません。特に肝臓を蒸しゆでにした「あんきも」や酢味噌で調味した「きもあえ」は絶品です。肉は低脂肪で低カロリーですが、ビタミンA、D,E、それにミネラルの亜鉛が多いので眼科疾患、味覚障害、貧血、カルシウムの補給には効用があります。冬の寒い日は鍋物がよいでしょう。

イ カ

 イカは日本人の食生活に大変馴染みが深くて、非常に人気のある食べ物です。分類上では軟体動物・頭足類・十腕亜目に属し、種類も世界で450種ぐらいありますが、食用にされているのはジンドウイカ科(ヤリイカほか)コウイカ科(マイカ、モンゴイカほか)アカイカ科(スルメイカほか)などの種類です。
 ヤリイカは泳ぐのがとても早く、時速50kmものスピードがだせます。
 コウイカは胴に軟骨があり、墨を大量に吐くので別名を墨イカとも言われています。
 モンゴイカは背中に暗黒色の紋様があり、アフリカ産のものが多いです。
 富山県の名物、ホタルイカは雌に比べて雄がきわめて少なく、日本海海戦の終わった日(明治38年5月28日)に発見された、深海性で夜に光る発光器を持っているのが特徴です。
 スルメイカは全国各地の沿岸に広く分布し、主産地は北海道、東北、北陸などで、回遊性があるので一年中、漁がありますが、昼は深海に潜り、夜になると海面近くまで上がってきますのでイカ釣り船は専ら夜の仕事になります。ヤリイカ、コウイカは夏に旬を迎えます。
 ところで、イカ類は海に住むのになぜ烏の字がつくのか?。馬琴の『俳諧歳時記栞草』によりますと「その性 鳥を嗜み 自ら水上に浮ぶ。飛ぶ鳥これを見て死せりとし、これを啄む。すなわち巻取りて水に入りこれを食す。よって烏賊(ウゾク)と名づく」とあります。
 栄養的には、カロリーが低く、たん白質は他の魚と同様ですが、ミネラル特に銅を多く含んでいますので美容食にはお勧めですし、タコ同様、タウリンを多く持っていますので、コレステロールや中性脂肪の調整、肝臓の解読作用の促進、胆石生成の予防、視力の増強などにもその効用は高いでしょう。

イサキ

 イサキは6月から8月頃が旬で、産卵期の初夏にはバツグンに美味しいので「梅雨イサギ」とも言われています。本州の中部以南に分布する暖海性の魚で、千葉、和歌山、四国、長崎などの近海で多く獲れます。地底に近いところに住み、昼間はあまり行動せずに、夜になると岸近くの上層部に上がってくるので、釣り人たちは「イサキの磯釣り丑三つ時」といって夜釣りがよいようです。イサキの別名“鶏魚”というのは背びれの刺(とげ)の部分が鶏冠に似ているのでという説があります。
 また、骨が硬くて鋭いところから紀州ではカジヤコロシの異名もあり、魚の中で、特に骨の硬いのはタイ、タチウオ、それにイサキですので、怪我のないように注意しましょう。
 栄養的には、他の魚と同様に高たんぱくですが、ビタミンDが多いのでカルシウムの吸収率をアップしてくれますので、骨粗しょう症の予防には最適です。調理面ですが、活ものは刺身にするとタイやスズキに匹敵する旨味があり、しめたものなら塩焼き、付け焼き、煮物、三枚におろして、から揚げ、フライもよいでしょう。塩焼きには大根おろし、から揚げにはレモンを添えて賞味されるとなおよろしいです。

イシモチ

 イシモチはニベ科の魚で、松島湾を北限に本州以南からインド洋付近まで広く分布していて各地沿岸の砂泥底に住む暖海性の魚です。関東ではニベと呼ばれたり、関西ではグチと云っていますが、いずれも近縁の種類なので総称してニベの名前でまとめているようです。
 旬は春で、幼魚は内湾に住んでいますが、あまり遠くへは移動しません。イシモチは頭部(目の後)にある耳石(じせき)が石に似ているのでこの名が付いたようです。
 「石もちと いえども軽い 肴なり」という川柳があります。イシモチの特徴は浮袋を振動させてグーグーと鳴き声のような音を出します。産卵期には特にその音が大合唱で聞こえ、愛の囁きではなく、愛の雄叫びのように大きいそうです。『三才図会』によりますと「その声、雷のごとく、海人は竹筒をもって水底を探り、声をききて網をおろす。・・・鰾(うきぶくろ)より膠(にわか)を作る」とあります。イシモチの和名を。膠魚(ニベ)とも書きますのも昔から浮袋の粘着力が強いので膠にしていたようです。『本朝食鑑』にも「筑前博多、肥前長崎の工匠、中華、朝鮮の弓弩を作る人達はいずれもこの鰾(うきぶくろ)、膠、および諸魚の鰾を用いるという。」とされています。
 栄養的には、良質たん白質が豊富でカルシウム、鉄などのミネラルにビタミンB2も多く含んでいますのでストレスの防止、貧血、口内炎、口角炎それに骨粗しょう症の予防などに効用があります。グチの殆どは高級蒲鉾の材料に加工されますが、イシモチ、ニベは焼物、煮物、蒸しもの、揚げもの、あんかけなど広く利用されています。

イトヨリ

 イトヨリは本州以南から韓国、東シナ海に分布し、水深40〜100mの浅海の泥底に住む暖海性の魚で、頭の後ろから尾びれにかけて六本の黄色い縦縞があり、尾びれの黄色い上部は長く糸のようにのびています。この尾びれが泳いでいるときは、糸をよったように見えることからイトヨリと言う名になったようです。肉質はやや柔らかですが、味はタイに劣らないアッサリした白身の高級魚で、イトヨリダイとも呼ばれています。
 関西ではマダイの代わりに祝い膳に用いられることもあります。
 日本の主漁場は山陰や五島、対馬ですが、近年は漁獲量も減少し、香港からの輸入ものが主体になっています。栄養面では、たん白質は他の魚と変わらない高たん白質ですが、脂肪がやや少なく、タイと同様にイノシシ酸、グルタミン酸があるので美味しいです。ビタミンA、タウリンもありますので、高血圧、中性脂肪やコレステロールの調整、視力低下の予防などには効用があります。
 調理面では、塩焼き、煮もの、フライ、から揚げなどにもよいですが、淡泊な味なので三枚におろして、一口切りにし、サット湯通しをして椀種にもよいでしょう。

イボダイ

 イボダイと名が付いていますが、タイ科の種類とは全く関係のない魚で、イボダイ科に属し、マナガツオと同じ亜目に分離されています。日本の太平洋側では松島湾、日本海側では新潟より以南の各地に分布している暖海性の魚です。昼間は底層におりますが夜間になると浮上してきます。胸の下の方に小さいイボのような突起があるのでこの名前が付いたようです。体長は約、15〜20センチぐらい、体色は銀白色で、皮が薄く、鱗がないように見えますが小さな鱗があります。この鱗は非常に剥がれやすいので店頭にあるときは殆どみえませんが、そのかわりに、体表にぬるぬるした粘液を出しますし、口はオチョボ口で、やや丸みのある偏平な形をしており、皮膚には木の葉の葉脈のような筋節が見えるお馴染みの大衆魚です。旬は夏から秋ですが、産卵後、卵は海面で浮遊しながら孵化するとクラゲの傘の下に入って稚魚はクラゲの生殖腺を食べながら育ちます。いわば、クラゲの居候みたいな存在です。瀬戸内海ではクラゲウオ、和歌山ではウオゼ、関東ではエボダイ、京阪神ではシズと地方によって呼び名が違いますが、アメリカなどでは体内から出す粘液がバターに似ているのでバター、フイッシュと呼ばれています。栄養的には含有アミノ酸のバランスもよく、脂質はイワシよりは少ないですが不飽和脂肪酸もありますので、老人食や病人食などによいでしょう。調理面では、つけ焼き、照り焼き、煮物などがポピュラーですが、蒸しものなどにも利用できます。

イワシ

 マイワシは北海道から日本各地の沿岸に広く分布しており、暖流に乗って冬は日本の南方に、夏は日本の北の方へと大群をなして回遊し、、産卵期は12月〜7月頃までです。ウルメイワシは本州以南の太平洋、大西洋、インド洋などの暖海域に分布し、産卵期だけ内湾に入る外洋性の魚で、眼がうるんだように見えることから、この名が付いています。カタクチイワシは日本周辺、朝鮮半島、中国沿岸に多く、上顎が長くて下顎が短いことからこの名で呼ばれています。
 「源氏物語」で有名な紫式部が、好物のイワシを食べていると、夫の藤原左衛門佐宜孝が不意に帰宅したので、式部は下賎な魚を食べていると言われるのが嫌で、あわてて隠したが、宜孝は不審に思って「何を隠したのか?」と訊ねると、式部は即座に「日ノ本に はやらせ給う いわしみず 参らぬ人は あらじとぞ 思う」と石清水八幡宮の御神徳をたたえた歌で答えたので、宜孝も式部の文才に驚いて「イワシは女の肌を温めて、顔の艶をよくする美容食である」と逆になだめたとか・・・。イワシの脂質にはEPA(エイサコサペンタエン酸)が多いので、動脈硬化、心筋梗塞、血栓病などの予防に効用がありますし、脳細胞を活性化させボケ防止には抜群の効果があります。
 また、ビタミンではA、B1、B2、特にDは一日成人の必要量の5倍も含まれるので骨粗しょう症の予防には最適の健康食品です。
 調理面では焼物、煮もの、揚げ物、つみれ、フライなど多方面に利用できます。
 10月4日は全国「イワシの日」です。

ウナギ

 ウナギはサケが川で生まれて海で育つのとは反対に、海で生まれて一生の大半を川や池で過ごし、8〜10月頃に海に帰ります。これを「下りウナギ」と言いますが、その産卵場は大体、台湾海峡とかフィリピンの深海だとか未だに定かではありません。孵化した小魚は半透明で柳の葉のような形をした「レプトセファルス」という稚魚になって浮遊しながらシラスウナギに成長し黒潮にのって晩秋から早春にかけて日本沿岸に到着し、群をなして川をさかのぼります。また、ウナギは皮膚呼吸ができますので川をさかのぼる途中に、崖や滝があっても水辺の湿地を伝って体をくねらせながら何処までも上って行くことで物価などがドンドン上昇する状態を“ウナギのぼり”と言われるようになったようです。
 江戸時代の学者、平賀源内が、あまりはやらない鰻屋に頼まれて『本日、土用の丑の日』と大書して貼ったところ、これが人気となって大繁盛したとか・・・。もともと、蒲焼きはウナギをそのままブツ切りにして竹串に刺して焼いたので、その形が蒲の穂に似ていることから蒲焼きの言葉が生まれたと言われています。今の蒲焼きは関東と関西とではウナギの開き方が違います。関東では背開き、関西では腹開きで焼きます。栄養的には、ビタミンAが非常に多く、それにレチノールという成分がありAの吸収率がよく、そのほか、B1、E、カリウム、鉄などのミネラルも含んでいますので、夏ばて、眼科疾患、ガン予防、老化防止などにもよく、更に脂肪にはEPA、DHAも多くあり、動脈硬化、血栓病、脳細胞の活性化にも効用がある健康食品です。最近では天然ものが少なくなって中国、台湾、韓国、フランスなどからの輸入ものが増えています。

ウ ニ

 ウニは北海道、東北地方、房総半島以南と全国的に分布していますが、有名な産地と言えば、やはり北海道でしょう。下関などで売り出されている加工品(粒ウニ、塩ウニ、練りウニなど)の70〜80%までが道産ウニを使っています。形はイガグリのような形をしていて分類学では棘皮(キョクヒ)動物のウニ科に分類されています。さて、私たちが食べているのは外形のイガグリを割って、その中にある生殖腺なのです。独特な風味があり、旨味の主成分はグルシン、アラニン、パリン、メチオニン、グルタミン酸、イノシン酸などで、味は絶品です。そのほかに、たん白質、脂肪、灰分などの栄養が豊富なので西インド地方では“海の卵”といわれています。
 ビタミン類ではAが多く眼科疾患や皮膚の健康を保ち美容によいとされていますB1、B2も充分に含まれていますので神経細胞の機能向上に役立ちます。また、軟らかくて消化吸収がよく血管を膨張させる作用がありますので、血行がよくなり体内が暖まることから「ウニはこたついらず」とも言われています。それに、アルコールの解毒力が優れていますので、お酒好きな人は欠かせないたべものです。加えて、たん白質は消化吸収のよい良質たん白質を含有していますので、老人や病人の栄養補給としても非常に効用があります。

エ ビ

 世界でエビの種類は2000種以上あるといわれています。しかし、私達が普段食べているエビは大体200種類ぐらいです。その中の約半分の11種類がクルマエビ科に属しています。例えば、クルマエビ、大正エビ、クマエビ(アシアカエビ)、ウシエビ(ブラック、タイーガー)、シラサなどで、他種にはシバエビ、サクラエビ、アマエビそれにイセエビがあります。英語圏では、シュリンプ(小型エビ)、ブローン(中型のエビ)ロブスター(歩くエビ)の三つに分類されています。日本列島に住む私達の先人たちは古代、縄文の時代からエビを食べていたことは貝塚によって証明されていますが、高貴な人びとに限られていたようです。室町時代以降は武家階級で、それも婚礼などにはイセエビがよく使われていたようです。庶民が食べられるようになったのは明治以降ですが、現在、エビの消費は世界のトップクラスになっています。国内生産もありますが、その殆どが輸入もので約20ヵ国から入っています。クルマエビ科のエビは宮城県以南の太平洋岸に限られ、初夏と冬に旬を迎えます。シバエビは内湾の砂泥地に住み、サクラエビは駿河湾の特産。アマエビは富山湾以北で、ホッコクアカエビともよばれています。イセエビは千葉県以南の太平洋岸、九州西岸に分布し10月〜11月が旬です。エビ独特の甘味はグルタミン酸、グルシン、アラニン、などのアミノ酸が多く含まれているからです。栄養的には、たん白質が多い割りに脂肪が少なくタウリン、EPA、DHAが豊富なので脳卒中、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞などの予防、味覚障害、育毛、ガン予防にも効用のある食品です。